ごあいさつ

生命現象のメカニズムについて深く理解することは、病気の原因解明や治療法の開発に有用です。 しかし、逆に病気の本質を追究することで生命のしくみに係わる普遍的な法則に辿り着くという場合もあります。 著しい高コレステロール血症を呈する患者の検討から、一般的なコレステロール代謝機構の解明に成功し、 ノーベル賞を受賞したGoldsteinとBrownの仕事はその好例といえるでしょう。

我々の研究室では、代謝機構の破綻によって引き起こされる糖尿病・脂質異常症・メタボリックシンドローム・脂肪肝 などの生活習慣病を中心に、その成因の解明や新規治療法の開発を行うこと、そして「病気」と対比させることで 「正常」な代謝の一般的な基本原理を解明することを目指しています。

そして得られた「医学の知」を世界に発信することで、社会に貢献していきたいと考えています。 新しい知を得るためには、文献を読み知識を得た上で仮説を設定し、その仮説を検証するため積極的に実験を行うことです。 少々の失敗があっても諦めることなく継続することが大切です。 そのような方針で指導を行い、熊本の地から世界の舞台で活躍できる若い人材の育成を図っていきたいと思っています。

研究の醍醐味は、誰も知らなかった病気の原因・自然の基本原理を自分が最初に解明する喜びではないでしょうか。
私は米国シカゴ大学に留学中、いくつかの糖尿病の原因遺伝子を世界で初めて同定することに成功し、生命活動を支配する 自然の神秘的なしくみの一端を垣間見る幸運に巡り合うことができました。 一人でも多くの若い人たちに、このような経験を体験してもらえればと思います。
医学部のみならず、広く多くの学部出身の方々の参加を期待しています。


熊本大学大学院生命科学研究部・病態生化学分野

教授・山縣和也




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