日程

Journal Club

Progress report

(8:30〜9:30)

(9:30〜12:00)

2010年(平成22年)

Group-1

Group-2
6月25日(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:The Toll-like receptor 4 ligands Mrp8 and Mrp14 are crucial in the development of autoreactive CD8+ T cells
    Nature Medicine 16: 713-717, 2010(Jun)
  • 要約:自然免疫と自己免疫応答とをつなぐ機序については十分解明されていない。Mrp (myeloid-related protein)8とMrp14は、さまざまな自己免疫疾患で発現が大幅に増加するdamage-associated molecular pattern molecules (DAMPs)に属する分子として知られているが、著者らは、自己免疫病のマウスモデルで、Mrp8およびMrp14の局所的産生が自己反応性CD8 + T細胞の誘導と全身性自己免疫の発症に不可欠であり、これらの分子がTLR4を介して、インターロイキン17 (IL-17)発現の増加をもたらすことを報告している。 また、皮膚エリテマトーデス患者においてもMrp8とMrp14の発現が増加しており、エリテマトーデス患者由来のCD8 + T細胞をMRP8, 14タンパク質で刺激すると、マウスと同様にIL-17発現増加が起こった。このことは、ヒトの自己免疫疾患でも自己反応性CD8+ T細胞の発生にMRP8とMRP14が重要な役割をもつことを示唆している。以上の結果は、DAMP分子の局所的発現と全身性自己免疫疾患発症とのつながりを明らかにしている。
  • 入江
  • 遠藤
  • 林田
6月18日(金)
  • 担当者:頼仲 玉珍
  • 論文:Expression of LIGHT/TNF SF14 combined with vaccination against human pappilomavirus type 16 E7 induces significant tumor regression.
    Cancer Research 70: 3955-3964, 2010(May)
  • 要約:
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 羽賀
6月11日(金)
  • 担当者:遠藤 祐子
  • 論文:MafB/c-Maf Deficiency Enables Self-Renewal of Differentiated Functional Macrophages
    Science 326: 867-871,2009(Nov.)
  • 要約:最終的に分化した細胞は、一般的にそれ以上増殖することはできない。神経膠細胞やある種の樹状細胞などは、末梢組織で一時的に増殖することはできるが、その能力には限界がある。本論文で著者らは、転写因子であるMafB/c-Mafを欠損させたマクロファージは、その特有の遺伝子発現やLPS/IFNγ刺激によるNO産生、貪食能力など、マクロファージの表現型や機能を失うことなく増殖することができることを示した。また、増殖能力を獲得したMafB/c-Maf欠損マクロファージは腫瘍を発生することなく、in vivoで正常なマクロファージとして機能した。shRNAによって多能性幹細胞誘導因子であるKlf4及びc-Mycの発現を抑制させると、MafB/c-Maf欠損マクロファージは増殖しなくなったことから、このマクロファージの継続的な増殖にはKlf4及びc-Mycの発現を高めることが必要であることが示された。これらの結果から、MafB/c-Maf欠損によって機能的な分化マクロファージが自己複製することが明らかになった。
  • 林田
  • 塚本
  • 頼仲
  • 遠藤
5月28日(金)
  • 担当者:林田 裕希
  • 論文:Chemotherapy enhances tumor cell susceptibility to CTL-mediated killing during cancer immunotherapy in mice
    Journal of Clinical Investigation 120: 1111-1124, 2010(Apr.)
  • 要約:癌免疫療法は、臨床効果が弱いという重大な課題に直面している。近年、様々な癌種の患者で、癌ワクチンを化学療法と併用することで高い臨床効果を得たと報告する臨床論文が多く出ている。しかしながら、この現象のメカニズムについては解明されていない。本論文で著者らは、マウスにて、癌ワクチンやT細胞移入療法といった癌免疫療法と、広く使用されている数種の抗癌剤の組み合わせを試した。著者らは、化学療法が、癌細胞においてCTLの放出するグランザイムBの透過性をパーフォリン非依存的に劇的に増加させることによって、CTLの細胞傷害作用を受けやすくすることを発見した。この効果は腫瘍細胞表面のマンノース-6-リン酸受容体の発現増加を通して調節されており、それはマウスの細胞でもヒトの細胞でも観察された。化学療法と併用した場合、腫瘍特異抗原に対して活性化されたCTLは、抗原を発現していない隣接した腫瘍細胞においてもアポトーシスを誘導できるようになった。これらのデータより、少ない量のCTLでも、抗癌剤と併用することで抗腫瘍効果を発揮できると考えられた。加えて、これらの結果は、進行癌患者においてこれらのモダリティを併用することに対して強力な理論的根拠を与えた。
  • 冨田
  • 羽賀
  • 池田
  • 高松
5月21日(金)
  • 担当者:羽賀 栄理子
  • 要約:TRPV2 has a pivotal role in macrophage particle binding and phagocytosis.
    Nature Immunology 11: 232-239, 2010 (Mar.)
  • 論文:TRPV2 (transient receptor potential cation channel, subfamily V, member 2) は、マクロファージ、知覚ニューロン、その他多くの細胞に発現している非選択的陽イオンチャネルである。本論文で、TRPV2欠損マウスを用いた実験から、マクロファージの分子結合および貪食において、TRPV2が重要な役割を持つことを示した。Filter-migration assayの結果から、TRPV2はマクロファージのmigrationに関与していることが示唆された。また、TRPV2欠損マクロファージおよびTRPV2 antagonistであるRuthenium red 処理により貪食能および粒子結合が欠損したことから、TRPV2はマクロファージによる粒子結合および貪食の初期段階に、深く関与していることを示した。さらに、アクチン脱重合作用をもつLatrunculin Aおよびcytochalasin Dにより、TRPV2欠損マクロファージによる粒子結合が回復したことから、アクチン脱重合が粒子結合に関与することが判明した。F-アクチンの定量や32PラベルPhosphatidylinositol bisphosphate (PtdInsP2 )の測定により、FcR依存性TRPV2活性化やKCl刺激によって起こる膜脱分極がPtdInsP2合成を誘導し、その結果起るアクチン脱重合により、FcRのclusteringを変化させることが示された。また、TRPV2欠損により病原性L.monocytogenesへの抵抗性が減弱したことから、TRPV2はマクロファージのbindingおよび貪食に関与し、病原微生物への自然免疫において重要な役割を担っていることが明らかになった。
  • 入江
  • 遠藤
  • 林田
5月14日(金)
  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:
  • 千住
  • 池田
  • 高松
  • 冨田
  • 羽賀
5月7日(金)
  • 担当者:冨田 雄介
  • 論文:Foxp3+ T Cells Induce Perforin-Dependent Dendritic Cell Death in Tumor-Draining Lymph Nodes.
    Immunity 32: 266-278, 2010 (Feb.)
  • 要約:Tregは腫瘍免疫を抑制するが、そのメカニズムは完全には解明されていない。著者らは、OVAを発現するMCA101腫瘍の根治にはOVA特異的T細胞レセプターをもつCD8陽性T細胞(OTI)の養子免疫とFoxp3陽性T細胞中和の両方が必要であったことを示した。腫瘍の所属リンパ節において、Foxp3陽性細胞の中和はOTI細胞の移動を有意に停止させ、樹状細胞の数を上昇させることでOTI T細胞のプライミングを増強した。また、樹状細胞を養子免疫した後のin vitro における細胞障害実験とtwo-photon live 顕微鏡を用いることで、著者らはFoxp3陽性T細胞が腫瘍の所属リンパ節において樹状細胞の細胞死を誘導するが、腫瘍が存在しない状況では樹状細胞の細胞死は起こらないことを示した。樹状細胞の細胞死にはFoxp3陽性T細胞とDCの接触が必要で、かつ腫瘍抗原の存在とパーフォリンに依存していた。これらの結果から著者らは、腫瘍所属リンパ節におけるFoxp3陽性T細胞依存性の樹状細胞死がおこることでCD8陽性T細胞の抗腫瘍効果が抑制されていると結論づけた。

4月30日(金)
  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:

4月23日(金)
  • 担当者:
  • 論文:
  • 要約:

4月16日(金)
  • 担当者:真崎 雄一
  • 論文:FcRg Activation Regulates Inflammation-Associated Squamous Carcinogenesis
    Cancer Cell 17: 121-134, 2010 (Feb.)
  • 要約:慢性的に活性化状態にある白血球の前癌組織への浸潤は、癌を発症させる一因となっている。しかしながら、免疫細胞が、どのようなメカニズムで腫瘍の進行に対して促進的あるいは抑制的に働いているのかについては不明である。本論文で著者らは、扁平上皮癌を発症するK14-HPV16のマウスを使って、B細胞及び液性免疫が、前癌組織に常在しているミエロイド細胞や浸潤してくるミエロイド細胞のFcgレセプター(FcgR)を活性化することによって、癌を発症させていると報告している。自己抗体が前癌性の皮膚のストローマに蓄積すると、前癌組織に常在している白血球や浸潤してくる白血球のFcgRが活性化される。すると、周囲の白血球の前癌組織への浸潤が促されると共に、前癌組織での白血球の組成や生理的機能が変化し、腫瘍の進行が促される。以上のように、これらの結果は、B細胞、液性免疫、活性化FcgRが、上皮癌の進行を促す慢性的な炎症に必要であることを裏付けるものである。

4月2日(金)
  • 担当者:池田 徳典
  • 論文:Crucial role of interleukin-7 in T helper type 17 survival and expansion in autoimmune disease
    Nature Medicine 16: 191-197, 2010(Feb.)
  • 要約:L-7Rは、多発性硬化症の感受性と遺伝学的に関係していることが報告されている。本論文で著者らは、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)では、IL-7がTh17細胞の生存と増殖に非常に重要であることを報告している。ただし、IL-7は、エフェクターTh17細胞に対しては増殖を促したが、Th17細胞の分化には影響を与えなかった。また、IL-7Rαに対する抗体投与により、EAEの臨床症状が改善し、抗体を投与したEAE誘導マウスから回収したTh17細胞において、JAK-STAT5経路の阻害が起こっていることや、生存促進に関与するBcl-2の発現低下、アポトーシス促進性タンパク質Baxの発現増強が確認された。一方で、Th1やTreg細胞は、抗体投与の影響を受けなかった。この選択性の原因として、Treg細胞ではIL-7Rα発現が低いこと、TH1細胞では、Socs1の発現増強が起こっていることが可能性として考えられた。以上のことから、IL-7Rαに対する抗体投与により、選択的にTh17細胞が抑制され、Th17細胞が原因となる自己免疫疾患の治療に有効である可能性が考えられた。